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「ごめんね、中庭で寝てたの見付けて、風邪引くと思って連れてきたんだ」
慶斗が笑う。
「ありがと…」
お礼を言うと気が抜けて、少しソファに凭れた。
すると、ズルっと何かが落ちる。
今気付いたけれど、ブレザーの上を掛けてくれていたみたいだ。
「これ誰の…?」
思ったより声が出なく、小さな声で慶斗に訊ねる。
「あぁ、玲尹のだよ」
玲尹を見ると、確かに上を着ていなかった。
私はソファから起き上がり、玲尹の隣に座った。
「玲尹、ありがとう」
「…ん」
玲尹は無表情にブレザーを受け取ると、着ずに組んでいる脚の上においた。
「慶斗、玲尹、ありがとうね。
私ちょっと用事があるから、また明日っ」
改めて2人にお礼を言って、小さく頭を下げた。
慶斗は笑顔で手を振り、玲尹もちらっと目線をくれた。
私は身だしなみを整え、慶斗に手を振り返して教室を出た。
沢山ある疑問やわからないことは無理やり頭の隅に追いやった。
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