春染

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「んで、もう解決したみたいだけど、なんの用?」 笑顔とは裏腹に、探るような、裏の掴めない声で、そう聞くと。 「……」 ”鳳凰”総長、通り名”鷺”は、少し黙って、私を真っ直ぐ見つめた。 「”龍虎””月霞”共に休戦を申し込みたい」 …おっと? 予想外の言葉に、少し驚いた。 「へー?何を言い出すかと思ったら。 うちの姫にちょっかい掛けといてそんなのが通じるとでも?」 にっこり笑顔でそう問うと、僅かに眉間に皺を寄せた。 「それもうちのシマでね」 真尋が不機嫌そうに隣で呟いた。 ”鷺”は何かを考える様に押し黙る。 まー、でも。 今日の”借り”もあるし 「まー、いいよ。」 そう答えると、”鳳凰”に加え、真尋も”龍虎”までも驚愕の顔をした。 「でも、またこういうことあったら交渉炸裂な」 不敵に笑うと、ずいっと”鷺”に近付いた。 「俺、卑怯なやつ嫌いだから」 ”鷺”は近くなった距離に驚いたのか、少し目を見張った。 「ははっ」 ”鷺”から離れると、くるっと”龍”に向き合った。 「で、”龍虎”は?もう話しついてんの?」 薄々分かってはいるが、とりあえず聞いた。 「あぁ。」 ”龍”が頷くと同時に、私の携帯がなった。 「あ、失礼ー」 断ってからその場を離れ、電話に出た──。
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