宿泊研修

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んー。 また戦い始めた人たちを横目に、考える。 いつもなら本当に傍観するだけだけど… 番犬くん、あれは相当やばそうやし…… 迷った挙句、 トッ…。 降りた。 「えっ」 その場の全員が、一斉にこちらを見た。 全員目を丸くして、”俺”だと気づいた瞬間、さらに驚いていた。 「えっ…え???」 「”鏡花”…?」 驚いてるとこ申し訳ないけど… 番犬くんのとこに近付くと、番犬くんはビクッと肩を揺らした。 「ぇ…”鏡花”…さん……」 無言でそっと、おでこに手を伸ばし、熱を測る。 番犬は目を見開いて、固まった。 「うわー、くそ熱っ。熱あるやん」 思ったより熱かった。 38度は確実に超えている。 「ちょっと貸してもらえる?」 番犬くんをひょいっと抱えると、その場の全員に向き直って尋ねた。 「えっ…は、はい」 「え、ちょ……」 ”鳳凰”の人達からは許可降りたけど、”天狐”の下っ端さんが引き止めてきた。 「ごめんねー、お楽しみの途中。 お詫びに今度は俺が相手になるから、いつでも呼んで」 有無を言わさないようににこっと笑って、そのまま放心状態の番犬くんを抱えたまま、早足で歩き出した。 「へっ、え、ちがっ…」 後ろからまた同じ人からの声が聞こえてきたが、すぐにその場を離れた。 「ばんけ…じゃなくて”紫狼”くん、大丈夫?」 番犬くんは、ぐったりして目を閉じていた。 んー、やばそう とりあえず、ここから近いのは”月霞”でも”龍虎”でもなく、もちろん”鳳凰”なのだが、行くのは少し抵抗がある…けど、そんなこと言ってる場合でもない……が… うーむ、1つ心当たりはあるといえばあるが、行ったあとの番犬くんの事を考えると、やはり”鳳凰”の方がいいかもしれない… となると、下っ端くん達を置いてきたのは間違えかなぁ… まぁいいや、急ご とりあえず”鳳凰”の倉庫に急いだ。
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