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はじめは理子も気付かなかった。
少しづつおかしくなっていった真子。
スマホを見なくなって、いつもは学校のノートも机の上に置きっ放しにしていても平気だったのに、自分の物を綺麗に片付けるようになった。
理子も真子を見習って整理整頓しなさいよ、と、母に言われて不貞腐れたりした。
理子よりも遅く寝て、理子よりも早く起きて勉強をした真子。
笑顔を絶やさずに、真子は良い子で居た。
真子は良い子だね、と父に褒められた真子。
同じ顔なのに、と暗に言われた気がして、理子は悔しかった。
だけどそんな理子にも、真子は優しい。
だから理子は真子を嫌いになる事は無かった。
2人は生まれる前からずっと一緒にいたのだから。
……ずっと一緒に居たのに、気付けなかった。
真子が虐められている事に。
真子が命を絶った日、理子は深夜に目覚めた。
遠くで泣き声が聞こえた気がした。
「……真子? 」
二段ベッドの上を覗くと、真子が居ない。
ベッドから抜け出て寝静まった家の中、耳を澄ませて歩くと、かつて祖父の部屋だった仏間から、すすり泣く声がする。
普段より重く感じる襖を理子がそっと開けると、暗闇で顔を覆って泣く真子が居た。
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