第22章
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どうやってお金を工面したのだろうと、出立した後、志津子は姉の部屋に入った。 桐の箪笥には着物一つ残っていなかった。 祖母からの形見の鼈甲の櫛も、翡翠の帯どめも。 帯揚げも襦袢すらも。 すべてお金に換えて、サラベナに旅立ったのだ。 なにも残さなかった。 自分にさえも。 「生きて会えれば、それで良かったのだと、何か月かたって殿下と一緒に林の家に挨拶にきたとき、泣きながらそう言っていました」
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