第22章

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しばらく涙を流れるままにした後、藤岡の目の前だということを思い出し、少し恥ずかしくなった。 涙を拭いて気持ちを落ち着けると、なにか足りないことに気が付いた。 「どうかしましたか。痛いのなら、鎮痛剤をいただいていますが、飲みますか」 からだ中がひりひりするけれど、そうではなくて。 栞は痛みを実感したくなり、ゆっくりと体を起こした。 皮膚が熱くてちりちりする。 体のあちこちに貼られた大判の火傷用医療シート。 頬と首にも貼られている。
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