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「そういえば……」
ジムは震えながら、直近のログを漁った。両親の関係についての履歴だ。
「やっぱり、2016年や。千年前やないか」
父親であるジェイクが生まれたのは2016年と、はっきりそこにはある。おそらく長い人生のどこかで、ジェイクとミリアは生殖細胞の保存に協力していたのだろう。そして、二人は人生丸々を関数として使わなければ導き出せない、希薄で運命的な関係だった。
「ああ、ああ……」
ジムは続けて、先のジムの人生についてのログを見た。誕生についての部分を読み込むと、やはり彼が「世界方程式が人間を分析する為に作った参照試料」であると記載があった。
彼の中で、何かが失われる。
「ふざけんな。ぶち壊しにいったる」
ジムは強制的に接続を切り、側の壁を殴った。
世界方程式のメインシステムはアメリカのとある研究室にある。幸い、ジムの家からなら歩いて数日で着く距離だった。
「ああくそ、ムカついたら腹が減ってきよったで」
ジムは窓へ口を向ける。外は夜中だった。チーズバーガーを食べてから何日後の朝だろうか。それとも、まだ夜は明けてないのだろうか。とにかく外に明かりはなく、ただ闇がポカリとそこにあった。
「こうなったら、培養技術で女を作って幸せになったるからな!」
そして、何かに宣言するよう叫んだ。もう、この世にはジム以外の人間なんて居ないのに。
窓から突風が吹き込む。
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