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「世界方程式もまさか、自分が作った人間に壊されるなんて思いもせんやろうな! これからまた、人類の歴史が始まるんや! ハハハ!」
ジムの大口を開けた笑いを止めるように、物が飛び込んで来る。
ジムは面白おかしくて、それが何かを確認しなかった。
「はぐあ?!」
その瞬間、奇声が響いた。そして、すぐにそれは絶叫に変わる。
喉を何かが貫いた。何だ? ジムは喉のそれに手を伸ばす。触れると、吐き気を催す程の激痛が走った。
「うぎゃあああ」
意を決しそれを引き抜く。空いた穴からは血が溢れ、噎せたジムは更に地獄を見た。逆流した胃液が、傷口に満ちる。
錯乱状態のジムが手元を見ると、金属の杭が血に濡れていた。
「クソ、止血方法を」
ジムは目を閉じ、世界方程式にアクセスする。操作しようとするが、表示がさっきのジムの生涯からうまく戻せない。
ジムの状態も既に正確な信号を送れる状態ではないのだが、原因はそれだけではない。
出力の長方形が拡大しているのだ。そちらの処理に追われ、世界方程式が他の操作を受け付けないらしい。
どうやら焦るがあまり、ジムは「再計算」の信号を送ってしまったらしかった。
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