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エミは番場に反発する。
「私達は死神でも未命課じゃないですか。死にそうな人を生き返らせる…そういうお仕事じゃないですか?」
「おおぅ、部下にマジレスされちまった。けどよお、俺らの課はおまけ兼お荷物じゃない。形だけやってりゃ、ある程度の給料はもらえんだし……良くね?」
「良かねーです」
「あっそ。でもな、あの男、おそらくまたやるんじゃねえのか、近い内に」と、番場はクイクイと親指でロープを指さす。
「そう思います、私も」
「思うんだったら、どうして」
「また助けます。どうしようもならなくなったら、最期の時まで一緒にいます」
「……おまえが辛くなるだけだぞ」
「……番場さん、優しいですね。なんだかんだいって、私の様子とかちょくちょく見に来ますし」
「うるせえ」
ふふ、とオリオン座が輝く寒空の下、エミは笑う。
「一人じゃないんです。一人な人はいないんです」
「あめーな」
ペロッと、エミは涙を拭った指を舐める。
「甘くはないです、塩っ辛いんです」
このまちでは他の都市に比べて自殺者の数が平均に比べて少ない。
原因については詳細不明である。
(了)
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