一話

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エミは番場に反発する。 「私達は死神でも未命課じゃないですか。死にそうな人を生き返らせる…そういうお仕事じゃないですか?」 「おおぅ、部下にマジレスされちまった。けどよお、俺らの課はおまけ兼お荷物じゃない。形だけやってりゃ、ある程度の給料はもらえんだし……良くね?」 「良かねーです」 「あっそ。でもな、あの男、おそらくまたやるんじゃねえのか、近い内に」と、番場はクイクイと親指でロープを指さす。 「そう思います、私も」 「思うんだったら、どうして」  「また助けます。どうしようもならなくなったら、最期の時まで一緒にいます」 「……おまえが辛くなるだけだぞ」 「……番場さん、優しいですね。なんだかんだいって、私の様子とかちょくちょく見に来ますし」 「うるせえ」  ふふ、とオリオン座が輝く寒空の下、エミは笑う。 「一人じゃないんです。一人な人はいないんです」 「あめーな」 ペロッと、エミは涙を拭った指を舐める。 「甘くはないです、塩っ辛いんです」 このまちでは他の都市に比べて自殺者の数が平均に比べて少ない。 原因については詳細不明である。   (了)
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