ガラクタキラキラ。

遠い青

放課後、校門の前に滑るようにしてやって来る車。
その目が醒めるような美しい青を見て、僕の胸は焦がれるように痛む。

もう見たくないのに、僕の目はまた今日も滑り来る青を追う。
車は僕の前でピタリと止まる。

ーーそして、

僕の横をすり抜ける、黒。

黒は当然のように青へと向かう。
青はまるで、そんな黒を歓迎するかのように、するすると窓ガラスを下げる。

黒の、彼の為に、開かれた世界。

そこから覗く笑顔は、彼だけに向けられる。

「お疲れ。さあ、帰ろうか」

「ああ」

その笑顔と隔てるようにして、ドアがある。
僕には開けられないドア。そのノブに手を掛ける権利を、彼だけが持ってる。

「じゃあな、カオル」

彼は僕を振り返り、眩しく笑った。

「ああ、また明日」

僕が何とか口角を上げて応えると、彼はニッと笑みを深めて青の中に消えた。

甘い香水の香り。垣間見えたシンプルなポニーテール。

（……）

滑るようにしてやって来た青は、また滑るようにして去っていく。

青が角を曲がるのを見届けて、僕はそっと、溜息を吐く。

あの色には、焦がれることすら、赦されない。

それでも焦がれずにはいられない僕を、誰かバカだと笑ってくれ。

いい加減自分が嫌になって見上げた空は、嫌になる程青くって、泣きたくなる程、遠かった。