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時刻は夜中。
やる気満々キルコと共に。菖蒲の住居を目指して二十数分。自分たちの寮から割と近い位置にある鬼の棲み処へと辿りついた。
「いつも思うけどよ……」
ここに来るのはこれで何回目だろうか。ゲームにはまったキルコに連れられて通い続けたせいでもはや見慣れたその家……そう、家。いくら見慣れても、やはり思わずにはいられない。
「なんであの人、一軒家に住んでんだ」
木造だがしっかりとした作りの家屋が壮介たちの目の前にはあった。周りには高い塀が整列し、そこが協会の用意したお偉いさん用の家であることを物語っている。
「上層部から直々の招待を受けてここにいるんだし。そりゃ、住むとこもちょっとは豪華になるよ」
ガンガン、と。門を叩きながらキルコは言う。チャイムがあるのに使わないのは、そのスイッチを初めてみた菖蒲が引っ越し初日につついて壊してしまったからである。
元々は上層部の人間が住んでいた場所らしいが、協会他支部への出向により空き家になったものらしい。そこに菖蒲が転がり込んだというわけだ。
「こんなに広いんなら俺たちも住まわせてくれるんじゃねえか?」
菖蒲が門を開けにくるのを待ちながら。壮介は冗談半分でそんなことを言うが、キルコはそれを本気で受け取ったようで。ものすごい勢いで首を横に振った。
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