記録5 孤児院長

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 この三週間、彼女らに付き合わされてゲームのコントローラーを握ったことが……否、握らされたことが何回もあったが。  壮介が経験したのは決して遊戯などでは無かった。狩り、蹂躙、圧倒的暴力がそこにはあった。『なんだこれ地獄かよ……あっここ地獄だったわ』と、何度絶望したか覚えていない。  しかもキルコは『大会』と言った。罰ゲームが付きものなのは明白。  「絶対にやりたくねえ!!」  これは断固として拒否したい壮介であったが。  「えー、菖蒲と他のみんなが仲良くなるいい機会だと思うんだけどなー」  (い、意外とまともな動機を持ってやがる……)  つまりは、新たに地獄協会に加わった知り合いと、既存の知り合いを引き合わせて親睦を深めようと言っているのだろう。たしかに重要なことな気がする。  ただ紹介するのではなく、そこに菖蒲の好むゲームという媒介を挟むことでよりスムーズに事を進めたい、と。キルコがそう主張するのも目に見えていた。  「…………っ」  反論が、潰えてしまった。そこにキルコがのほほんと入り込む。  「まー、いーじゃん。絶対楽しくなるって」  (何とかして代案を……!)  壮介はコップの結露を指に感じつつ、全力で頭を回すが。キルコはこの話を終わらせる、つまり確定させる魔法の一言を放ってしまった。  即ち、  「さっ、そろそろ仕事の話をしよ」  上司命令。壮介はこれに従わないわけには、いかない。  ということは――――  (ああ……これほんとに開催されるやつだ……)  ――――壮介の願いは天に届きはしなかった。  おとなしく仕事の話題にシフトしようとため息をついた壮介は、してやったりと笑むキルコに気がつくことはなかった。
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