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「おはよー。なんか眠くないー?」
「おは…椿、寝不足?クマできてるよ」
「え、うそっ。ちょっとお手洗い行ってくる」
翌朝、登校早々に指摘をされ、私はカバンを持ったままトイレへ駆け込んだ。
「わ…本当だ。もう、アイツのせいだ」
小さく愚痴りながら、カバンから取り出した化粧セットでクマを消す。
こんなのは手馴れたものだ。
ものの数秒で消えると、何事も無かったかのようにトイレを後にする。
「おはよー。なんか眠くないー?」
「おは…うわ、消えてる。てかテイク2?」
友人は流石にびっくりしてる。
私は「何が?」ととぼけながら自分のカバンを机に置く。
「にしても、椿がクマ作ってくるなんて珍しいね。何か考え事?」
「うーん、そんな感じ」
「相談乗ろうか?男の事なら任せて!」
自信満々に親指で自分をさす彼女は、学年1の容姿の良さを生かして今まで何人もの男の子とお付き合いしている。
しかしその分別れていて、3ヶ月も続いたのは2人だけだ。
今は居なかったはず。
でも、そんな彼女なら…私が理解できなかった石井の気持ちが分かるかも。
「…秘密なんだけど聞いてくれる?」
「…え、マジで男?ねぇ皆ちょっと!」
ちょ、秘密って言ったのに。
彼女は近くに居た人達を私の周りに呼び集める。
「聞いてよ。難攻不落の椿に好きな人できたって!」
「え、違「「「嘘ー!キャー!!」」」
ぁーもう!
うるさいうるさい!
私は煩さと恥ずかしさで、両耳を塞いだまま机に突っ伏す。
何これ何のお祭り?
勘違いだよ!
「で?で?誰?生徒会長?」
「あ、社会科のイケメン先生とか!」
「違うよ。きっと1年生の子役の子でしょ」
みんなで好き放題言ってくる。
私そんな目立ちそうな人達と付き合いたくないよ。
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