女神の我慢

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「違うってば。2組の」 シン……… さっきまで騒いでいたのが嘘のように一瞬で静まる。 まるで私の言葉を待ち望んでるかのように。 ってか、何で私が好きな人言うみたいな流れになってるの? 「えっと、まずね。好きな人じゃないから」 「あーはいはい。気になる人ね。で?」 …絶対分かってない。 とにかく、さっさと名前だけだして誤解を解こう。 「ほら、2組の…石井って居るでしょ。彼、実は同じアパートなんだけど…」 そこまで言うと、何故か皆が一歩引いた。 私は困惑。 「石井って、不良の?何でまた」 「もしかして椿、何か弱みでも握られてる?それで寝れなかったとか」 「いや、私分かるよ。壁があるほうが燃えるよね!」 私が訂正するまでもなく、数人の女の子の間で話に尾ひれどころか羽や牙までがつく。 石井どんだけ評判悪いの。 「聞いて?ちょっと喧嘩しちゃっただけで、仲直りしたいの」 「椿が謝ることないよ。よし、私達が代わりに石井をこらしめてやろう!」 「「「オー!」」」 や、だから…。 だめだ。このままだと石井が悪者になる。何とかしないと。 「ねぇ、お願い。石井は何も悪くないの。皆が行ったら、私本当に顔合わせられなくなっちゃうよ」 「…そこまで言うなら我慢するよ」 「女神の頼みごとじゃしょうがないね」 私のお願いで、みんなはとどまってくれた。 …女神でよかった…あ、違うんだった。
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