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そんな彼に、私が蹴った空き缶が命中したことがあった。
あの日はよっぽどストレスが溜まってたんだ。
急いで謝ったけど、焦ってた私が「ちょっと日ごろのストレスが」なんて口走ったところ、「後でお前の隣の部屋に来い」って言われた。
「あの瞬間、色々と覚悟したね」
「脈絡ねーな」
心の言葉がもれてしまったけど、「このことを隠す代わりに…」とかヤマシイ事を言われるかと思った。
けど石井は私が部屋に来るなり。
「いつも良い子ぶって大変だろ。ここでは普通にしろ」
なんて言って来た。
高校に入ってから、完璧な人間を演じてた。
いつも緊張状態だった。
それが救われた気がして、対して知らない彼の前だけで素を出してみた。
言いふらされるかもって危機感はあったけど、石井は未だに秘密にしてくれている。
じゃあ何で私に素を出すように言ったのか聞いてみた所、「俺も同じだから」と意味の分からない理由だった。
でも、その理由は直ぐに分かった。
このデート前かのようにいつも綺麗な部屋と、本当は優しい彼の性格を目の当たりにして。
つまり、私と逆。
噂の裏番長は、喧嘩を吹っかけられることは合っても一度も手を出した事が無いって。
無遅刻無欠席だし、宿題の提出忘れすら無い。
まぁ、学生側はそんな事知るはずも無く、見た目だけで…。
そういうわけで、なんか通じ合った彼の家にちょいちょいお邪魔して、こうやってストレス発散させてもらってるんだ。
これももう半年になるかな。
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