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自分で言うのはアレだけど、私は普通の男子には力以外は負けないと思う。
頭も料理も運動でも。
そんな私が守られることって少ないとは思うんだけど、それでも守ってやるって言われたらキュンとしちゃうのにな。
分かってないよ皆。
「石井、実はモテるんじゃない?顔隠せばいけるよきっと」
「お前失礼だな。余計なお世話だ」
ケラケラ笑いながら言ったら、若干拗ねてしまった。
面白くて頭をなでれば、それをパッと振り払って睨みつけてきた。
「そういうお前だって実はいたこと無いだろ」
「ギクッ」
「ギクッて口で言うな。そもそも、それ本当なのか?」
「本当だよ。だって、素が出ちゃいそうで怖いもん」
完璧人間になる前はモテず、モテ始めた時には既に素の自分は完全に無かったから。
学校で他人と会うくらいならまだしも、長時間一緒にいたらいつ素が出ちゃうか分かったものじゃない。
それに、素を隠すのに疲れて絶対長続きしない。
彼氏いたら、さすがにここに転がり込むのってダメだろうし。
「彼氏にくらい素の自分を見せてもいいんじゃないか?別に悪女みたいな性格じゃないんだし」
「無理だよ。普段とのギャップがありすぎて」
普段が良すぎるんだ。
だから、そうだと思って付き合う人がいたら、本当の私にはがっかりすると思う。
その点、石井はすごいと思う。
大した驚きもせずに受け入れてくれたから。
「石井って案外すごいね。案外だよ案外」
「3回も言うなよ。帰すぞ」
「ごめんごめん」
私が適当に謝れば、呆れたように溜息をつく石井。
もし彼氏なら、こうやって素の私を受け入れてくれる人がいいな。
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