第1章 棺

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「可愛いお嬢ちゃんね。 お仕事中だけど、良いのかしら? 私は大歓迎よ。」 おばぁちゃんは、私の方を見て言った。 そして、おやじさんに向き直って、 「この人数で良いかしら? どんなお仕事ですの? 冒険者のお仕事って難しいのかしら?」 漢たちは満足そうに微笑むと、 「あそこのお嬢ちゃんも一緒に頼みたいのだが。」 と言って、まごまごしているあのタワーシールドを持った少女を指さす。 「荒事にはしたくないのだが、念のためにな。 仕事は簡単だ。 あるモノを解祁教(ほっけきょう)の教会まで運んでもらいたいんだ。」 漢はそう言い依頼書を見せる。 「たくさんの盾だわ♪ 若い娘だけど、とても強そうね。」 おばぁちゃんは、タワーシールドの少女を見ると、彼女の方へと歩いて行った。 しばらくすると、彼女を連れて戻ってくる。 「成る程、荷物運びか……。」 リオさんは依頼書を受け取り、内容を確認していた。 「依頼の品について詳しい経緯を聞かせて貰えますか?」 リオさんはすでに依頼を受けるつもりだ。 「おう、今朝な漁にでていたら、網に棺桶みていのがかかっちまったのよ。 それもかなりの値打ちモノっぽい、年代物のな。 俺たちはいくら価値がありそうでも棺桶だからな。 教会で弔ってほしいわけだ。 そいで、港から教会まで運んでくれる人を探していたんだ。」 か……棺桶? 教会って解祁教の教会のことだよね。
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