第1章 棺

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「いや~ねぇ。ねぇ? 棺桶だなんて演技悪いわ~。 あーやだやだ。 仏さんも浮かばれないわよ。」 おばぁちゃんはタワーシールドのお姉さんの手を握ったままそんなことを言っていた。 「そこをなんとか。謝礼は弾むから。」 漁師は依頼書の依頼料の欄に金貨100枚とかきこんだ。 「ドゥーラさん達はどうしたい? オレは引き受けたいと思ってるけど……。」 リオさんが私たちの顔を見る。 「このままだと確かに仏さんが可哀想過ぎるわね。 勿論、受けるわよ。 只、棺桶を運ぶための荷車は借りられるのかしら?」 おばぁちゃんが問う。 「ああ、港に行けば貸せる手はずになっているだ。」 漁師たちは口をそろえてそう言った。 「じゃあ港に向かおう、案内をお願いします。」 リオさんが、ここは仕切った。
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