10人が本棚に入れています
本棚に追加
私たちは漁師さんたちに連れられて、港へと向かった。
道中私は疑問に思っていたことを、タワーシールドのお姉さんに聞いてみた。
「私の名前はピック。お姉さんはなんていう名前なんですか?」
「ピックちゃんね。
私はリル・シールド。
シールドをこよなく愛する夢見る乙女よ。」
リルさんか……。
ちょっと大人っぽいからお姉さんって感じかな?
「リル姉と呼んでもいいですか?」
「いいよ。ピックちゃんもバックラーを持っているんだね。
お揃いだ。」
リル姉は満足げに、自分のバックラーを見せてくれた。
港に着くと人だかりが出来ていた。
なんとか、人をかき分けて中にはいると、年配の漁師と若い漁師がにらみ合っていた。
そこに、明らかに漁師とは違う黒髪の若者がいた。
黒の長髪を後ろで束ねている青年。
その右手には赤いマニキュア、左手には黒のマニキュアをつけ、背中には戦斧を担いでいる。
「さ、これでこっちの人数には勝てまい。
素直に渡すのだ。」
年配の漁師が語気を荒げる。
「何かしら?
揉めてるようだけど。」
おばぁちゃんが戦斧を持った青年に声をかける。
たしか彼の名前はバルト・イーヴィル。
ファジメ亭に泊まると言って、やって来た人だ。
最初のコメントを投稿しよう!