第1章 棺

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私たちは漁師さんたちに連れられて、港へと向かった。 道中私は疑問に思っていたことを、タワーシールドのお姉さんに聞いてみた。 「私の名前はピック。お姉さんはなんていう名前なんですか?」 「ピックちゃんね。 私はリル・シールド。 シールドをこよなく愛する夢見る乙女よ。」 リルさんか……。 ちょっと大人っぽいからお姉さんって感じかな? 「リル姉と呼んでもいいですか?」 「いいよ。ピックちゃんもバックラーを持っているんだね。 お揃いだ。」 リル姉は満足げに、自分のバックラーを見せてくれた。 港に着くと人だかりが出来ていた。 なんとか、人をかき分けて中にはいると、年配の漁師と若い漁師がにらみ合っていた。 そこに、明らかに漁師とは違う黒髪の若者がいた。 黒の長髪を後ろで束ねている青年。 その右手には赤いマニキュア、左手には黒のマニキュアをつけ、背中には戦斧を担いでいる。 「さ、これでこっちの人数には勝てまい。 素直に渡すのだ。」 年配の漁師が語気を荒げる。 「何かしら? 揉めてるようだけど。」 おばぁちゃんが戦斧を持った青年に声をかける。 たしか彼の名前はバルト・イーヴィル。 ファジメ亭に泊まると言って、やって来た人だ。
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