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「気を付けて行ってらっしゃい。」
澄み渡る青い空、のどかに広がる田園地帯。
未だ、冷たい風が彼らの頬を撫でていった。
「うん、行ってくるよ。」
元気に返事を返す少女。
歳は15歳。
金髪碧眼。
長い髪をポニーテールで縛り上げている、活発そうな女の子だ。
ピンクのタンクトップにピンクミニスカートとピンクと動きやすさを好む少女だ。
そして彼女に向かい合っているのは、彼女の両親だろう。
40代前後の夫婦のようだ。
「ピック、本当苦しくなったら帰ってきてもいいんだぞ。」
「大丈夫だよ、パパ。そのためにアカデミーに行くんだから。」
アカデミー。そう、そこは冒険者の養成所である。
この村、ラッキ村は自給自足の小さな村。
そこから、冒険者となるべく1人の少女が旅立つところだ。
「どこへ行くつもりだ?」
「うん、東の港街スタットに行こうと思っているよ。
あそこならアカデミーもあるし。一番近いから。」
ピックと呼ばれた少女は、父親の質問に即座に答えた。
「くれぐれも無茶はしないでね?」
母親は涙ぐむ。
そんな母親を父親が抱き寄せる。
「じゃ、そろそろ行くね。」
ピックはくるりと背を向けると、そのまま振り返ることなく歩き始めた。
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