10人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁい、いらっしゃい。」
私は、片づけ物をしながら大きな声で入り口に向かって声を張り上げる。
……と、その時ちょっと自分の目を疑った。
そこには年配の女性が1人立っていた。
身なりからしてアカデミー出身者なのはわかる。
しかし、その身なりが思わずひいてしまうようなコーディネートだった。
厚化粧にソフトウェイブのかかった栗色のセミロング。
大きなブラウンの瞳。
ちょいポチャの中背
派手な色の服
一瞬、仕事の手が止まったくらいだ。
ファジメ亭にはいろんな人がやってくるが、ここまで派手好きな年配女性は見たことがない。
「席は空いているかしら?」
その年配女性の荷物は真新しい。
という事は、新米冒険者?
「あら? あそこが空いているわね。
座らせてもらうよ。」
派手派手の服に身を包んだその女性は、カウンター席へと向かって行った。
「ふぇ、人がたくさんいる。」
かわいらしい声が聞こえてきた。
先ほど、店にやって来た女性だ。
盾をモチーフにしたヘアピンでサイドアップに止めている、金髪碧眼の女性。
私と同じか……少し上かな?
彼女も、新品の装備に身を固めた新米冒険者だと思われる。
もっとも目につくのは、彼女がもっているタワーシールドだ。
外見の美しさに比べて、違和感のあるタワーシールド。
さらに腕にはバックラーと、盾を2つも持っている。
最初のコメントを投稿しよう!