第1章 棺

4/36
前へ
/108ページ
次へ
「あの、席をお探しでしたらあちらが空きましたので、ご案内いたしますよ。」 私はなんとなく同年代の同性の冒険者を見てほっとする。 「ふぇ、良いの?」 「はい、どうぞこちらへ。」 いましがた片づけを終えた円卓へと案内する。 「ご注文が決まりましたら、お声掛けくださいね。」 かわいいと言うよりは美しいという言葉が似合う彼女。 何処となく大人の雰囲気が漂っているからかな? ちょっと憧れるな。 カランカラン 「はぁい、いらっしゃいませ。」 また一人お客さんが入ってきた。 店の中は、人でごった返している。 そんな中、うれしい悲鳴を上げているのだ。 入ってきたのは、黒の肩上まであるセミロングを襟足で束ねている男性。 前髪は目にかかる程長く右に流していた。 鋭い赤眼で身長170cm前半、細身だけど少々筋肉質。 服装は暗い色で統一されていた。 「すまないが、部屋を1つ借りたい。」 いきなり話してきたその青年に、私はすぐに反応できなかった。 「どうした? ここは宿屋ではないのか?」 「え、ああ、はい。宿屋ですよ。 宿のご用命ですね。 カウンターで承っていますので、そちらにお願いできますか?」
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加