第1章 棺

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私と対照的な真っ赤な瞳、初めて見た。 私は、彼をカウンターへと案内して、宿帳に記入をしてもらう。 『リオ・エレスチャル』 リオさんっていうんだ。 つい、真っ赤な瞳に視線が行ってしまう。 「これで良いのか?」 リオさんの声で我に返る。 「あ、はい。 部屋は一人部屋ですか? それとも、大部屋ですか?」 ここファジメ亭には個室・2人部屋・6人部屋の3種類がある。 個室と2人部屋は、貸切になるけど、6人部屋は相部屋となっている。 その分宿泊料も安い。 「大部屋でいいのだが。」 「はい、わかりました。」 私は、リオさんのサインの後に部屋番号を記入した。 「2-Bの部屋になります。」 「2-Bだな。わかった。」 そっけない人だなぁ。 でも、そんな人にも慣れるくらい珍しくはない。 そんな時だった。 ファジメ亭に3人の漁師と思われる漢(をとこ)の人が慌ててやって来た。 その3人の漁師はカウンターにやってきて、おやじさんと何やら話をしている。 「ふむ、なんだか様子がおかしいな。」 リオさんが呟いたのを聞き逃さなかった。 私も、おやじさんとの話を盗み聞きした。
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