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「どこで見つけた、利三」
「美濃でございます」
言って、利三の顔に笑顔が拡がった。なんとも良い笑顔だ。利三最大の武器は人たらしなこの笑顔かもしれない。
秀吉は信長に毒を含ませてやろうと画策しているのだ。
利三が美濃で見つけた男がいずれ猛毒となり、信長を殺す。そうなるようにもっていくため、利三にはまだまだ働いてもらわなくてはならない。
「私はもう随分と近くなっております」
利三が言った。
「利三」
秀吉は口を開いた。肩の上で寧々が退屈そうに欠伸をした。
「お前が美濃で見つけたという男の名は」
「明智光秀」
利三が言った。
「明智、光秀」
秀吉は利三の言葉を反芻した。
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