寂しい夜

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「あれ?今日疲れてる?」 「うん。今日忙しくてさ……疲れた」 「そっか……」  いつも女の子は疲れていると色々聞いてくるのだが、無駄に聞いてこない里ちゃんはありがたいと同時に、癒される存在にもなってきていた。 「えー?疲れてるのー?ほら、元気出してカラオケでもしよう」と言ってくる女の子に、つい「俺のこと癒せるのは里ちゃんだけだから」と言ってしまった。  聞いていただろうに、完全無視で違う話をされ少し苛立ったが、来店するお客さんも里ちゃんと仲が良いのか、みんなで仲良くしている姿を見るのは嫌だった…… 「あ、さっき話してたんだけど聞いてた?」 「何?」 「朝起きて最初に探すものか、最初にすること!」 「眼鏡かな?」 「煙草じゃなくて?」 「うん、だいたい置いてあるところがわかってるから、手伸ばして眼鏡かけてから煙草かな?」 「掛けないと見えない?」 「かなり悪いから見えないよ」 そんな話をしていると、裕哉君て里ちゃんとは楽しく話すねーなんて、最近はしょっちゅう言われるが、否定ができない。
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