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もらった配達表の束をぱらぱらとめくり、どうすれば最短で行けるかルートを組み立てていると、足音が聞こえてきた。
「戻りましたー!」
弾んだ声と共に、ひとりの女性ーー女の子がやってきた。この寒いのにほっぺたを真っ赤にさせ、走ってきたのか呼吸が荒い。
「お帰り、有川(ありかわ)ちゃん。お疲れ」
荷物を抱えた彼女に、垣野内が労う。
「お疲れ様です。すみません、こちらはご不在でした」
「いいよいいよー。ーーあ、羽篠ちゃん紹介するな。この子、今日から来てくれる有川さん。ぴちぴちの女子大生」
オッサンくさい紹介の仕方である。が、有川は気にせずにぺこりとお辞儀をした。
「有川です。短い間ですがよろしくお願いします!」
夕もお辞儀を返す。
「羽篠です。よろしくお願いします」
女子大生ということは夕とほぼ同い年だが、高校生くらいに見えた。
ふんわりとした癖っ毛のショートカットが少し幼い印象を与えるが、元気のよい挨拶と素直な笑顔に、夕は好感を持った。
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