5人が本棚に入れています
本棚に追加
内容を理解するのにしばらく時間がかかった。
つまり、この女性は私が呪いの猫であることを知りつつも、呪いなんてないと言い張っているわけだ。
そんなはずはない。
だって、今まで私の飼い主は皆呪いのせいで死んでしまったとしか考えられない。
飼い主がこんなに頻繁に死んでしまうなんて、普通に考えてもおかしいもの。
「あなたは今まで辛い思いをたくさんしてきたのね。でも、それも終わるからね。これからは私があなたを精一杯愛してあげるから。」
私には、何でこの女性がこんなことを言うのかわからなかった。
なぜ辛い思いが終わるのか、女性の口元を見つめた。
「実は、私のお父さんとお母さんは、私が小さい頃に死んでしまって、おじいちゃんとおばあちゃんに育ててもらったの。
でも、、、
でも、3ヵ月前に火事で2人とも亡くなってしまってーー
私は兄弟がいなかったから、私は天涯孤独になってしまった。
慣れない県外に住むよりも、住み慣れた故郷で、おじいちゃんとおばあちゃんとの思い出と一緒に生活したいと思って、先月、引っ越してきたの。
そこで、1つ心に決めたことがあるの。」
そう言って、女性は一息ついた。
一言一言を考えて紡ぎだす姿に、この女性も苦しい思いを乗り越えようと頑張っているのだと、私は感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!