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「おじいちゃんとおばあちゃんは、1年ちょっと前に仔猫を拾ったと言っていたの。 その子は、小さいながらも一生懸命生きようとしていて、最初は猫助けと思って世話をしていたけれど、その灰色の毛並みも、金色のくりっとした瞳も、撫でられると気持ちよさそうにゴロゴロ鳴らす音も、全てが切ないくらい愛おしくなったと言っていたわ。 その子を危険に曝(さら)されることがあったら、自分の命を顧(かえり)みず、1番に助けてあげたいって言っていたくらいね。 だから、その仔猫の亡骸が火事の焼け跡から見つからなくて、私はホッとしたわ。 だって、おじいちゃんとおばあちゃんが、自分より大切にしたいと思えるほど愛していた猫なんだもの。」 そこまで聞いてやっとわかった。 トシコとカズオサンの事を話しているのだ。 この女性は、2人の孫なのだ。 「私は、2人が愛した猫と一緒に幸せになると決めたの。 きっと、2人もそれを1番に望んでいると思ったから。。。 2人が私の家に遊びに来たときは、必ずその仔猫の写真を見せてくれたわ。 ・・・その猫は今私の目の前にいる。」
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