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この事件を皮切りに、それからの3ヵ月は地獄だった。
次に私を道端で拾ってくれた若い女性は、私を拾って2ヵ月後に車に轢かれて死んでしまった。
その次に公園で出会ったおじさんは、私を拾って1ヵ月後に突然倒れて白い車に乗せられ、トシコと同じように2度と帰ってこなかった。
私に関わる人間は不幸になる。
ーーー私は呪われているのだ
私を拾ってくれる人はその呪いを受けて、次々と死んでいってしまったのだ。
近所の井戸端会議でも、立て続けに起こる事故死や病死をした人は、灰色と白の毛皮をした猫を飼っていたと、灰白毛の猫は不吉だと話をしていた。
その灰白毛の猫とは、私の事だ。
この不吉な噂話のおかげで、私を拾おうとする人間はいなくなっていた。
人間に拾われるとその度に食べ物を貰え、寒さに凍えることもなく、たくさん撫でてもらえる。幸せをもらえる。
でも、そこから全てを失い1人になるのは淋しい。耐えられない。
また誰かと出会って、また別れて・・・淋しい思いをするくらいなら、最初から出会わない方がいい。
食べ物が少なくて、寒い思いもするけど、そっちの方がずっとましだ。
だから、私はその不吉な噂話を流すおばさんたちには、今は感謝しているくらいだ。
このまま1人の方がいい。
1人で最期を迎えよう。
もうこれで終わりだ。
私の呪いのせいで起こる不吉な事故や病死も、身を切るような淋しさも。
これで終わり。
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