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「それ、失敗なんです」
「悠香ちゃんが作ったの? 料理下手なんだねーでもそういうところもかわいい」
下げてから上げるつもりですか。うれしくないです。
結局そのケーキもテーブルに並べられてしまった。
高田さんと一緒にいるとつい飲みすぎてしまう。勧められるままに飲んでいると気分もよくなり、彼のテンションについ乗ってしまう。
そして彼はだいたい酒が入ると私の前でも堂々ととんでも発言をする。
「ねえねえ、悠香ちゃんて英ちゃんの小説読んだことある?」
先生が「おいっ」と口を出す。
ここはしらばっくれるべきなのだろうか、とも思うけれど「ええ、まあ……」と遠慮がちに返答する。
すると高田さんはさらに調子に乗り、陽気な声で私に同情発言をかました。
「悠香ちゃん大変だね。仕事で疲れてるのに毎晩この人に付き合ってたら身がもたないでしょ?」
なんて返事をしたらいいんだ。
私が無言で笑っていると先生が高田さんをじろりと睨んだ。
「そろそろバカな発言をやめろよ」
「あー毎晩じゃなくてもこの人1回がすごいんじゃない? 寝かせてもらえないでしょ悠香ちゃんかわいそう」
「ごばっ!」
豪快に飲んでいたビールを吐き出した。
でも私じゃない。鳥山さんが。
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