プロローグ

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~一~  漆黒の闇が空を覆い尽くす。雲は立ち消え、その闇の中にはポツンと琥珀色に輝く孤円のみが下界に光を灯す。  微弱な光に照らされて歩きよる二人組の男女……  その写し出される姿は決して愛の讃美歌を互いに奏であう恋人達では無いことが見て取れる。  二人組の片割れの少女……真っ赤なツインテールの髪型に白い肌に包まれた小さなフェイス。その中にはルビーのような紅く大きな瞳と淡いピンクの唇が彩られていた。  一見して可憐な少女……しかしその少女の小柄な身体にそぐわない銀影が異彩をアクセントとして加えている。 ――その影は剣。  しかし只の剣ではない、その身は少女の肩幅より太く更に長さは遠目からも明らかに少女の丈を超えるぐらいの尺を誇っている。  一見その身にあまるぐらいの大剣を少女は横一文字の状態で背中に括り付け歩く。  その姿はまさしく異質かつ異端で異常なる特異さである。
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