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「いやあああぁぁぁぁああ!!」
何処からか悲鳴が聞こえてきた。
この方角からして、森の方だ。
俺は今自転車に乗って友達とサイクリングしている途中だった。
すると前を走っていた友達が「どうした?」と聞いてくる。
俺は「なんか悲鳴聞こえたんだけど」と言う。が、友達は頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。
「おいおい、何言ってるんだよ。悲鳴なんて、どっから聞こえてきた?お前の耳がおかしいの」
俺は確かに聞いたはずだけど・・・。
そう思いつつ、友達に「ごめん!」と言い、そのまま声のした方へと向かった。
「お、おい!気ィつけろよ!そこの森、なんか出るらしいからなァ!」
そんな友達の声を背中で受け、自転車で森へと向かった。
*
息を切らしながら自転車を扱ぐ。
森のどこから悲鳴があがったのだろうか?
もしや、そこに何かが出たのだろうか。
俺は今さっき聞いた友達の声を思い出す。
――そこの森、なんか出るらしいからなァ!――
まさかな……。
俺は自転車を扱ぎ、森の奥まで来た。
すると、また同じ声の悲鳴が聞こえてきた。
「いやあああぁぁぁぁああ!!」
俺は自転車を下りて、悲鳴の元へと向かう。
すると。
――お前も餌食にしてやろうか?……――
と背後から声が、背中を這いずるようにして響いた。
背中に何かいる。
――お前、見えるんだろう?……――
静かにその声は俺の耳へと届いた。
背中に何かが這っている。無視の様な、軟体動物の様な。
気味の悪い物体が。
幸い目には見えていない。
――……見えないのか、そうか……ならば――
すると、急に首辺りに氷の様な冷たい何かがまとわりつき、締め上げた
「っが!」
――………、死ねぇ、死ねぇ……!!――
嗚呼、俺は見えない何かに殺されるのか……。
俺は後々コレの正体が〝幽霊〟だったことを知った。その幽霊はこの森で自殺した悲しい幽霊だったと、知ることになったが。
俺が帰る場所は、――もうどこにもなかったんだ。
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