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「私待ってたんだから」
龍馬ちゃんがぷくーっと、頬を膨らませる。
「本当にごめん。
怒ってる?」
「…あのね、みんながタカ君のことをすごく心配してたの。
だから龍馬も、早く来て欲しいなぁ~ってずっと待ってたよ」
隆盛君の顔がピクリと引き攣る。
隆盛君が下関での会談をブッチしたしたことに、龍馬ちゃんが怒っていると思ったのだろう。
「龍馬ちゃん、怒ってる?」
隆盛君は3度目の確認をした。
これだけ尋ねられれば、龍馬ちゃんは怒っていないと答えるしか無くなる。
なんともセコイやり方だが、世渡り上手の隆盛君にとっては、日常茶判事であった。
「やだなぁ、タカ君。
怒ってる訳ないよっ♪
タカ君のことだから、何か理由があったんでしょ?」
龍馬ちゃんが健気に俺を信じてくれていたことに、心が痛んだ。
行けなかったことに、理由などない。
隆盛君は下関に行こうとしていたが、周囲の反対に押されて行くことが出来なかったのだ。
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