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この2人の会話にヤキモチを焼いていたのは、中岡君と一緒にやってきた長州藩の桂小五郎。
少しウェーブした髪の毛に、鼻筋の通った顔。やはり、小五郎君もまたイケメンだ。
長州藩としては、薩摩藩との同盟を結び、薩摩藩が幕府に内密で武器を購入したものを、長州藩に提供してもらいたいとの思惑がある。
薩長同盟が結ばれないと、幕府の長州征伐により、藩が潰れてしまうという危機が迫っていた。
「おい、隆盛君。俺だって龍馬ちゃんにあだ名で呼ばれたいんだよ!
こご君? いや、ごろうちゃん?……とにかく隆盛君だけずるいじゃないか!」
自分の名前は隆盛君とは違い、短縮してあだ名にすることが難しい。
龍馬ちゃんにあだ名で呼んでもらえるのは隆盛だけ…そのことに、小五郎君は強い憤りを感じていた。
この嫉妬の熱情は、隆盛君との深い溝を築くことになる。
俺の方が先に龍馬ちゃんと出会っていたというのに。
龍馬ちゃんが俺の元から、遠く、遠く離れていく。
手が届かないところへ。
悲痛な思いで龍馬ちゃんへと手を伸ばす。すると、振り返った龍馬ちゃんが小五郎君に、パッと笑顔を向けた。
「私、桂ちゃんって呼びたいな♪」
「か……かつらちゃん!?」
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