小松帯刀邸

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小松帯刀邸

「いやーーーーん」 京都の小松帯刀氏のお屋敷に、甲高い女の子の悲鳴が響き渡る。 「龍馬ちゃん!どうされました!?」 その悲鳴を耳にした、龍馬ちゃんの親友である中岡君と、長州藩の桂君が現場へと駆けつけた。 龍馬ちゃんとは、かの有名な土佐藩の坂本龍馬である。 史実と異なるのは、悲鳴を上げた坂本龍馬は男ではなく、可愛らしい女の子であるということ。 ふんわりとした栗色の髪からのぞく、零れ落ちそうなほど大きな瞳。 真っ赤に染まった頬に、小さなおちょぼ口。 坂本龍馬は、見るからに萌え系女子であった。 龍馬ちゃんを巡り、幾度も一騎打ちが起こったというのも頷ける。 そして、龍馬ちゃんの親友である中岡慎太郎。 彼は龍馬ちゃんの幼馴染であり、龍馬ちゃんを支える存在である。 何事にも熱心で、優等生タイプ。交渉ごとが上手いのだが、手柄は全て龍馬ちゃんのものとなる。 中岡君がいなければ、後に歴史に名を残す坂本龍馬は誕生しなかったであろう。 現在は、薩摩藩と長州藩の同盟の仲介をするため、龍馬ちゃんと行動を共にしている。 「中岡君。 私ね、お風呂に人が入っているなんて思わなくて思わず開けちゃったの。龍馬のバカバカ~!」 握った拳を頬に当て、首をすくめてみせる竜馬ちゃん。 竜馬ちゃんの視線の先を見ると、がっしりとした筋肉質の身体に、キリリとした眉のイケメンが、ポタホタと雫を滴らせたまま、腰にバスタオルを巻いて立っていた。
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