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夜の帳が上がり時を見計らう頃、大男は鼻を突くきな臭さと息苦しさに目を開けた。
「……匂うな。」
クンクンと匂いをかぎながら、不穏な空気に洞穴を飛び出た大男は、その光景に目を疑った。
「何だこれは……。」
全ての洞穴を囲うように焚かれた炎は、生木をくべられもうもうと煙を吐き、
白み始めた夜空はその後ろの無数の鳥獣と陣羽織の男どもの姿を露わにしていった。
「出たぞ―!!あの穴だー!!」
「財宝はあの穴にあるに違いない!」
「鬼め、まんまと燻されおって!目にもの見せてくれるわ!」
姿を現した大男に侵略者の軍勢は雄叫びを上げた。
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