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次々となぎ倒されていく、無数の侵略者と鳥獣。
阿鼻叫喚が島を揺るがし、侵略者の軍勢は旗色が悪いかに思えた。
しかし……。
侵略者の一人が洞穴を指差し声を上げた。
「見ろ!あれは子鬼ではないか!」
……何?
大男が振り返ると、ただならぬ騒ぎを察してか、幼き者が洞穴から顔を出していた。
その一瞬の隙を突き、数人の侵略者が大男の両脇を抜けて行った。
……しまった!
「この際、小鬼でも構わん!鬼の首を取れぇ!」
「ま……待て!貴様らの狙いは我の首ではないか!」
大男は必死で気を引くも、斥候らは聞く耳を持たなかった。
洞穴に向かう者らを慌てて止めようとする大男。
ところが、背を向けた大男にここぞとばかりに猿どもが飛びかかり、犬どもが脚に噛みつき、雉どもが飛来して行く手を防ぐ。
前に出した脚は犬に躓き、思わず膝をつく大男。
多勢に無勢、足止めされた大男は為す術なく、拠点への侵攻を許してしまった。
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