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……我等が何をした?
次第に強まる雨足に、その場にいる者は皆体から雨を滴らせる。
……何ゆえ謂われのない迫害を受けねばならぬのだ?
微動だにしない大男に次々と斬りかかる侵略者達。
「鬼も弱って来とる!後少しじゃー!」
頑強なその体にも次第に刻み込まれる刀傷。
「命を奪われた同志の恨み、思い知れ!」
……身を守る事すら許されぬと言うのか?
無抵抗の大男に、幼き者と女の命を奪った者がとどめとばかりに斬りかかった。
「正義の刃の下、朽ち果てよ!鬼め!」
しかし……。
――パキン。
その刀は大男を傷つけること無く、軽い金属音と共に折れてしまった。
「……何が……。」
ふつふつと湧き上がる怒りに身を震わせる大男。
折れた刀を見つめ唖然とする者をぎろりと睨みつけて叫んだ。
「何が正義だあああ!!!」
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