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「おのれ、鬼め!よくも家来達をッ!」
1人残された小さな部隊の総大将はいきり立つ。
「何を言うか。貴様がけしかけたのであろう。我はそれを振り払っただけ。」
半裸の大男は落ち着いた低い声で総大将の男を諭すが、聞く耳を持たない。
「お前には血も涙もないのか!?」
「これでも加減した方だ。それより……」
大男はピクリとも動かなくなった獣らへ視線を落とす。
「これほどの戦力差にも関わらず、闇雲に獣共をけしかけた貴様に罪はないのか?」
弱みを突かれた総大将は顔を赤くして声を荒らげ、
「黙れ!黙れ黙れ黙れ!!この鬼め!成敗してくれる!」
と言うや否や、抜刀して一足飛びに斬りかかる。
その切っ先が大男の登頂へ当たろうという時、
ブンッ、という風を切る音と共に四尺はあろうという豪腕が、
戦に不向きな陣羽織の男を薙ぎ払う。
「ギャアアーーーッ!!!」
陣羽織の下の甲冑はひしゃげ
脇腹を殴打された男は、
痛みのあまりのたうち回る事もできず蹲る。
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