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荒波の砕ける岩場の上、新旧様々な木の杭が立ち並んだ小高い丘。
大男はそこへ穴を掘ると簡素ながらも丁重に侵略者を葬り、悲しそうな目をしながらポツリと漏らす。
「いつ頃からだったか。あの者らが侵略を始めたのは……。」
大男はそのうちの一番古い物を一瞥し、海辺で採れた食料を担ぐと、その場を後にする。
島の中央に聳える岩山。それを取り囲む樹海は天守を護る城壁の如く。
獣の往来でできた細い道は、そこに住まうものしか知らぬ抜け穴だ。
大男は獣道を歩きながら、これまでの事を思い出す。
最初は忠実な犬が、溺死した主をこの島へ運んだだけだった。
そして、その犬も主の傍らで何もすること無く果てた。
生きて到達したはいいが、慣れぬ航海で衰弱死した者。
空腹に耐えかねて、身内で命を奪い合った者。
恐らく到達することもなく消えた生命もあったに違いない。
果たしてどれだけの命が奪われたのか、島の上からは計り知れない。
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