未踏の英雄ら

3/5
前へ
/21ページ
次へ
「しかし、何故我が命に固執するのか。」 大男は思案した。 もし、自分が倒れその首を取られたならば、かの者共は満足するであろうか。 ――否。 今日来た者は、財宝を明け渡せ、とも喚いておった。 ありもせぬ財宝の影に踊らされた彼奴らは、必ずやこの島を蹂躙するであろう。 「それだけは避けねばならぬ。」 大男は岩山の頂に目をやり、最も好ましくない事態を想定し覇気を込めて一人ごちる。 「我らが命を脅かすなら容赦せぬ!()らいでか、桃太郎とやら!」 大男のその姿に、樹海の木々は揺れ、住まう獣共は畏怖した。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加