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「しかし、何故我が命に固執するのか。」
大男は思案した。
もし、自分が倒れその首を取られたならば、かの者共は満足するであろうか。
――否。
今日来た者は、財宝を明け渡せ、とも喚いておった。
ありもせぬ財宝の影に踊らされた彼奴らは、必ずやこの島を蹂躙するであろう。
「それだけは避けねばならぬ。」
大男は岩山の頂に目をやり、最も好ましくない事態を想定し覇気を込めて一人ごちる。
「我らが命を脅かすなら容赦せぬ!殺らいでか、桃太郎とやら!」
大男のその姿に、樹海の木々は揺れ、住まう獣共は畏怖した。
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