未踏の英雄ら

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樹海を抜けた先、岩山の山肌には幾つもの洞穴があった。 大男が一つ洞穴に向かうと、その前には幼き者と、か弱き女の姿があった。 「おかえり、父ちゃん。」 「おかえりなさい。」 家族は食料を運んできた大男を暖かく迎えた。 「今日は魚を採ってきた。焼いて食べよう。」 大男は獲物を女に渡して焚き火に目をやった。 女は魚の内蔵を取り棒を刺すと、焚き火で炙り始めた。 狩りの片付けをし大男が焚き火の側へと戻ると、幼き者が大男に 「父ちゃん、この火は俺が起こしたんだよ!」 と自慢げに語りかけてきた。 「ほう、良くやったな。母さんの手伝いか。」 「へへへ。」 大男は幼き者の行いを讃え頭を撫でると、幼き者は至極満足そうな笑みを浮かべていた。 「さあさ、もう間もなく日が暮れる。これを食べたら寝ましょう。」 そう言いながら女は焼きあがった魚の串を手渡し、家族を慈しむようにその食事姿を眺めていた。 間もなく夜の帳は降り、その姿を照らすのは焚き火の光のみとなった。 腹ごしらえの済んだ洞穴の家族は、程なくして床についた。
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