真夜中の訪問者

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 何となく嫌な予感がする。  気持ちの悪い気配はゆっくりと、そして、全身にゾワリとした寒気を齎す。  見るな。  絶対に見るんじゃない。  脳は瞼に警戒信号を発していた。  そのまま。  絶対にそのまま動くんじゃない。  眠ったフリをしてやり過ごせ。  じわりじわりと皮膚から伝わる気味の悪さ。  全身の毛穴がブワリと開きそうなほどの緊張感。  神経が一点に集中する。  鼓膜が捉えたのか、それとも、単なる自分の想像か。  微かに響く、いくつもの不気味な音に足元から鳥肌がゾワワッと立ち上がり、我慢しきれずに薄っすらと瞼を開けてしまった。  それが冒頭の「悲鳴」へと続くわけだ。
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