一章:大海の歓迎っていうのが実に手荒で

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まだ部外者の私が今回の調査に同行させてもらえたのは、とても幸せなこと。 そして、調査船に乗船している研究者は幼い頃から知ってる顔ぶれだった。というのも、私のパパも海洋生物の研究者だったから。 昔は、何でぬるぬるぐにゃぐにゃの気持ち悪い生き物ばかり研究してるんだろうって思ってた。 でも今は、あの頃のパパが言っていたことが少しずつわかってきた気がする。 『姿形に馴染みがないだけだ。知れば知るほど、魅力的だよ』 だから私も、パパと同じ道を歩もうとしている。 大伴さんから、今はトワイライトゾーンにいるんだと聞かされた。 あと数メートルも潜れば、光の届かない真っ暗な世界だという。 そのことは写真や映像で見てきて何となく知ってはいたけれど。 窓から外を眺めたら、既に体がすくみそうな闇に包まれていた。
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