貧富

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「ウワァァ――ン」 「アアァァァ――」 早朝、子供の悲しげな悲鳴が町のあちらこちらから聞こえて来る。 子供達は粗末な寝床の枕元を見て、悲鳴を上げ悲しげに肩を落とす。 彼らは寝床から起き上がり、粗末な服を着て素足にサンダルを履き、家族が用意した粗末な食事を口にして、ゴミ捨て場に使える物を探しに行く。 子供の1人が母親に問いかけた。 「ママ、何で私の所にはサンタさんが来ないの?」 母親は我が子の顔を悲しげに見つめ、返事を返す。 「サンタにプレゼントを貰うには、枕元に靴下を置かなくては駄目なのよ」 「靴下? 靴下って何?」 「金持ちが靴の下に履く物だよ」 子供は素足にサンダルを履いている自分の足下を見下ろし、肩を落としてゴミ拾いに出かけて行った。
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