11人が本棚に入れています
本棚に追加
「ウワァァ――ン」
「アアァァァ――」
早朝、子供の悲しげな悲鳴が町のあちらこちらから聞こえて来る。
子供達は粗末な寝床の枕元を見て、悲鳴を上げ悲しげに肩を落とす。
彼らは寝床から起き上がり、粗末な服を着て素足にサンダルを履き、家族が用意した粗末な食事を口にして、ゴミ捨て場に使える物を探しに行く。
子供の1人が母親に問いかけた。
「ママ、何で私の所にはサンタさんが来ないの?」
母親は我が子の顔を悲しげに見つめ、返事を返す。
「サンタにプレゼントを貰うには、枕元に靴下を置かなくては駄目なのよ」
「靴下? 靴下って何?」
「金持ちが靴の下に履く物だよ」
子供は素足にサンダルを履いている自分の足下を見下ろし、肩を落としてゴミ拾いに出かけて行った。
最初のコメントを投稿しよう!