僕は商品番号・・・。

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オープンして早速1人のお客様が来た。先日メガネの度を相談に来たおじいちゃんだ。 やや腰が曲がり片足を引きづりながらゆっくりと店内を歩く。 このおじいちゃんは愛想が良く笑顔が素敵で店員さんも、僕たちメガネもこのおじいちゃんは好きだ。 「やっぱり、度を変えてもらえんかの~」 「大丈夫ですよ~。今のでは見えにくかったですか?」 「ええ、少しの~。それに、フレームもガタが来たみたいじゃし買い換えた方がええか見てくれんか?」 「構いませんよ!こちらにお掛けになってお待ちください」 店員さんはおじいちゃんを席まで案内する。 「陳列されているのを眺めながら待っておるよ。」 「わかりました」 おじいちゃんはたくさんの種類のメガネを眺めながら 「今どきのメガネは種類が多いの~」 小さく呟く。 このおじいちゃんはどんなメガネを選ぶのだろう。 なにを基準に今、メガネを眺めてるのだろう。 そんなことを考えていた。 「あのじいさんいい人そうっすよね~。まあ、俺の理想の使い手じゃないっすけど」 と隣りに並べられているメガネが話す。 彼は商品番号Br2911、こげ茶色のセルフレームでラウンド型、フルリムのメガネ。 「君は一体どんな人がいいんだい?」 僕は彼に尋ねてみた。 「やっぱ、若くてオシャレに気を使ってる青年とかっすかね~。でもそゆ人ってたくさんメガネ持ってそうで、あんまり使われなさそうっすよね」 どのメガネも使い手には使ってもらいたいものだ。 「Blさんはどんな人がいいんっすか?」 「僕かい?僕は…」 僕は言葉に詰まった。
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