第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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「えっと……ネットの中から戻ってきた……の?」 僕から見ると、 行ってきまーす→目を瞑ってウトウト……→目パチッ!ただいまー!  なので、いまひとつ(らん)さんがダイブしてたんだって実感がないのだ。 「う、うん。行ってきた。”マルコ”と”ポーロ”の意味わかったよ。あ、あのね、あれは外国の子供の遊びだった。プールの中でする鬼ごっこで、鬼が『マルコ』って言ったら、逃げる方が『ポーロ』って答えるのがルールなんだって。キーちゃんち、お父さんがアメリカの方だから、それで知ってるのかも」 またも真横を向いて僕を見ない(らん)さんだけど、謎だったマルコ、ポーロの意味を教えてくれた。 「そうだったんだ……てコトは、キーマンさんがクマに向かって『マルコー』って言ってたのは、鬼は自分でバッドベアー(やんちゃなクマ)を見つけ出すぞ、追い込みかけるぞって意味だったのね……なんか陽気な感じに聞こえたけど、そう考えるとちょっとコワイ」 「だ、だよねぇ。キーちゃん、普段は優しいけど……ああ見えて怒るとコワイから……」 「え? そうなの? キーマンさんが怒るとか想像つかない。てか怒った時もあの口調?」 「う、うん、それは崩れない」 そ、そうなんだ。 あのキーマン節でガチギレってどんな感じなんだろ? それって怖いのかな? あんまり怖くなさそうな気がする……それよりも、僕は(らん)さんに聞きたいコトがいっぱいあった。 「ねぇねぇ、聞いてもいいかな! ネットの中ってどうやって入るの? 入るようになったキッカケは? 中はどんな感じ? それから(らん)さんの目に霊はどんな風に映るの? ネットにダイブ以外はどんなスキルを持ってる? それから、それから」 「え、そ、そんなにいっぱい、ど、どうしよ、なにから答えたらいいかな、」 とまあ、(らん)さんが若干引く程ガッツイてしまった。 だって、気ーにーなーるーしー! キーマンさんは今のところ「マルコー」と言って探索中だし、そのキーマンさんは僕達にレモネードでも飲んでいろって言ってた訳だし。 「ス、スキルのコト、お互い話した方がいいよね。こ、これからまた、ツ、ツーマンセルとか組むかもしれないし」 「そうだよ! 僕も話すし、(らん)さんも教えて!」 この現世にネットの中にダイブの出来る生者。 そんな人、一体何人いるんだろう? 僕の予想ではたぶん(らん)さん一人なんじゃないかな? 「す、すごく簡単だよ。霊力者でコツさえ掴めば、だ、誰にでも出来ると思う。は、入り方はね、」 (らん)さんは、それからゆっくりとネットダイブについて教えてくれた。
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