第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

51/122
前へ
/2550ページ
次へ
「あっ! いたーーーっ! やっと見つけたーーーっ!」 突然、遠くの方から声が聞こえて、びっくりして固まるボクと、「あのバカ」と呟くジャッキーさんと……ボク達はその方向に目をやったんだ。 見ると、紫の袴を着た巫女さんが、こちらに向かって走ってくる所だったんだけど、どこかで見たことがあるキャラ(ひと)だなって思ってたら…… 「なんでオマエが来るんだよっ!」 ボク達の所まで来た巫女さんにジャッキーさんが怒ったんだ。 「いーじゃんか! ウチの可愛い新入社員が迷子になってるんだ。先輩として迎えに行くのは当たり前だろ?」 そ、その巫女さんは、ジャッキーさんに怒られてもぜんぜんへこたれなくて、ボクに向かって「(らん)ちゃーん!」って両手をふってくれたの……こ、このキャラ(ひと)……もしかして、 「なぁ、オマエは子供か? なんですぐに後を追ってくるんだよ。 (らん)くんは自分と社長でなんとかすると言ったじゃないか。明日もオマエ現場なのに、寝不足でヘマしたらオマエが危ないんだぞ? あーもーバカかよ!」 ジャッキーさんが巫女さんに詰め寄ると、巫女さんはジャッキーさんをバシバシ叩いて、 「徹夜で現場なんて飲みに行ってりゃしょっちゅうだ、そんなに騒ぐなよ。アンタは(らん)ちゃんを守るために敵と戦うのが仕事。だけどダメージ食らって回復すんのにアイテムには数の限りがあるだろ? アタシの仕事は傷付いたアンタを回復させるコトだ。レベル99のヒーラー舐めんなよ?」 そう威張ってみせた巫女さんは、長い黒髪に背中に日本刀を背負ってて…… 「……はぁぁ、ああ言えばこう言うだ。まぁ、来ちゃったモノは仕方がないか……その代わり、ある程度の時間になったら帰らせる。わかったか? 弥生」 「はーい!」 やっぱり……弥生さんだったんだ。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加