第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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そ、それにしても……社長はこれだけゲーム初心者なのに、どうやって【マジカル陰陽師】までやってきたんだろう……? そもそも社長って、何かハード(ゲーム機)を持ってるのかな……? 「あぁ? ゲーム機なんて持ってねぇよ。俺は今ネカフェにいる。そこでゲーム機レンタルして、【ミラクル陰陽師】だっけか? それのアカウント作ったんだ。やり方はわかんねぇから、店員呼んでやってもらった。ソイツが良いヤツでよ、『お客様にピッタリのキャラがあるんすけど、それにしちゃっていいっすか?』って設定してくれたんだ」 いつも通りの豪快な喋り方なのに、イカツイ身体はカクカクとコマ送りみたいだし、ゲームのタイトル間違えてるし、ピンチな状況だけどおかしくて笑っちゃったんだ。 「んでよ、さっきジャッキーから聞いたけど、(らん)、おまえ放電しまくってたらネットの中に入っちまったんだって? なんだってそんな事になっちまったんだろな。ジジィの予想だと、まずココにいる(らん)は当然生身の人間じゃねぇ、じゃあナニか、おそらく電気信号の集合体だろうって。電気信号と言えば……(らん)、座学で俺が言ったコト覚えてるか?」 カクカクとぎこちなくて……コロンコロンと取るつもりのない受け身を取りながら……しゃ、社長はボクに質問をしたんだ。 「お、覚えてます。あの……たぶんだけど……電気信号の集合体と言えば……霊体……ですよね?」 「ビンゴ! よく覚えてるじゃねぇか。ジジィが言うにはなんらかの理由で幽体離脱した(らん)は、自ら放った電流を伝ってネットの世界に入ったんじゃねぇかって」 ボ、ボクが放った電気を伝って……? ネットの世界に……? 入ったってコトなの……? そんなのって……あ……でも、ボクは現にネットの中に迷い込んでいる。 「オイ、誠……それって無理があるんじゃないの? 先代の予想だから頭っから否定したくないけどさ、アタシらだって放電するじゃんか。その回数と量は(らん)ちゃんの比じゃないよ、ここ何年も放電しまくりだ。なのにアタシらの中で誰もネットの世界に入った霊媒師はいない、」 弥生さんの言う通りだと思った。 先輩霊媒師のみんなは、何年も何回も放電してきたのに……ボクみたいになった人はいない……なんでボクだけがこうなっちゃったの? 「だよなぁ、俺もそう思ったんだけどよ。ジジィが言うには、霊体まるごとの大きさじゃあ無理かもしれねぇ。だけど、ある程度分解されて小さくなれば、電流を伝ってネットの中に入り込むのも可能じゃねぇかって。んでよ、入った先で再構築されたんじゃねぇかって言うんだよ」
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