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「ま、とりあえず難しいコトはどうでもいいや。嵐ちゃんをどうやってリアルに帰すかだよねぇ」
えぇ!?
ボクね、びっくりしちゃったんだ。
弥生さん、ジャッキーさんの一回目の説明でわからないーって大騒ぎして、ジャッキーさんは弥生さんの為に、もう一回別の言い方で説明してあげたのに、それを「どうでもいいや」って言いきっちゃって……ハラハラしたの、ジャッキーさん、怒っちゃうんじゃないかって……
なのに、ぜんぜんそんなコトなくって、
「そうだな、いつまでもこのままじゃあ、嵐くんの生身の身体が弱ってしまう。意識がないだろうから食事もとれない、」
こう言って気にも留めてなかったの。
ボクなら絶対そんなコト言えない……嫌われたら、怒られたらどうしようって……そうなんだ……ボクは人の顔色ばっかり気にするタイプなんだよ。
え?
そんなコト気にしてたら疲れないかって?
……ん、正直疲れるかな。
あ、でもね、”おくりび”に入ってから少しはマシになったんだ。
会社の人達なら……小野坂さん以外なら……そこまで気にしなくなったもの。
特にキーちゃんはね、……え?
岡村さんのコトも気にしなくていいの……?
そ、そ、そか。
あ、ありがとね。
先代の仮説を聞いて、リアルに帰る道が少しだけ開けた気が……してたんだけど、リアルからネットへのアップロード、その逆ルートであるネットからリアルへのダウンロードをどうしたらいいのか。
みんなでたくさん話したんだけど、具体的な良い案が浮かばなくて、時間ばっかりすぎちゃって、だんだん煮詰まってきたの。
それでとうとう……
「あーーーっ! なんかよ、こういうのってメンドクセェな!」
社長がキレてしまって……そうだよねって思ったんだ。
だってリアルの社長はネカフェにいて、生身の身体も大きいからきっと窮屈で、慣れないゲームの操作もストレスだろうなって。
「ご、ごめんなさい……ボクのせいで……あの、大丈夫なので……社長は……い、いや……ジャッキーさんも弥生さんもログアウトしてください。ボク、ほ、放電、いっぱい試してみます、それで、あの、なんとかしますから……一緒にいてくれてありがとうございました。う、嬉しかったです……だけど……本当にすみませんでした」
見捨てられた……なんて思わなかったよ。
だってわざわざログインしてくれて、長い時間一緒にいてくれて、だけどみんなにはみんなの都合も体調もあるし……だから仕方ないんだ。
心細くないかと言えば……心細いけど、もとはと言えばボクがネットなんかに入り込んじゃったから悪いんだもの。
いつまでもボクがいたんじゃ、ログアウトしにくいだろうなって思って、それでどこか別の場所に行こうと歩き出したら……
「「「待てコラ!!」」」
三人の声がぴったりハモって……ボクを呼び止めたの。
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